児童手当と財産分与について
別居中の妻からの相談例
私と夫との間には子どもが1人おり、児童手当については、子ども名義の口座に入金して預金しておりました。現在、私は子どもを連れて自宅を出て夫と別居しており、今後離婚を考えておりますが、同居期間中に貯蓄していた児童手当については財産分与の対象となってしまうのでしょうか。
また、別居以降の児童手当については、現在も夫が受給していますが、実際に子どもを同居して養育しているのは私であり、別居後の児童手当についてはどのような取扱いになるのでしょうか。
弁護士による解説
1 婚姻中の児童手当について
児童手当については、一般的に、子どもの養育のための費用として親に対して給付されるものと考えられ、婚姻中に受給した児童手当については、財産分与の対象となることが基本といえます。
2 別居以降の児童手当について
では、別居後に受給された児童手当についてはどうでしょうか。
別居以降は、夫婦としての共同生活がなくなっており、どちらか一方が子どもを監護養育している形となりますので、児童手当については、子どもと同居している親が受給すべきものといえ、財産分与の対象にならないと考えられます。
3 まとめ
本件について見ていきますと、まず、同居期間中に受給して貯蓄していた児童手当については、夫婦の共有財産として財産分与の対象となってしまうものと思われます(夫婦の合意として、子どものための預貯金であるとして財産分与の対象から外す(親権者が管理するなど)という対応をすることは可能です。)。
他方で、別居後の児童手当については、子どもと同居して監護養育している妻が受給すべきものといえ、妻は夫に対して、別居後に受給した児童手当の返還を求めることが考えられます。裁判例でも、妻が子どもを連れて別居した以降も夫が児童手当を受給し続けていたケースで、別居後の児童手当については妻が受給すべきものとして返還を認めたものがあります。