養育費の不請求の合意がある場合の養育費請求

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妻からの養育費に関する相談例

 私は1年前に離婚をしましたが、その際、元夫から「親権は渡さない。もっとも、養育費を支払わないことでよければ親権は譲る。」といったことを強く言われました。私はどうしても子どもの親権が欲しかったので、やむを得ず養育費は請求しないことに合意しましたが、現在、生活が苦しいため元夫に養育費の負担をして欲しいと思っています。
 元夫から養育費を支払ってもらうことはできるのでしょうか。

弁護士による解説

1 父母間における養育費の不請求の合意について

 本ケースのように、どうしても離婚がしたい、親権が欲しい等の事情から、離婚の際に父母間において養育費を請求しないという合意をすることがあります。このような合意は、(そもそも真の合意として有効かという問題もありますが)父母間における子どもの養育費用の分担割合についての合意としては有効であると考えることができるでしょう。もっとも、この場合でも、その後の事情の変更がある場合には養育費の請求が認められることはありえます。
 また、父母間において養育費を請求しないという合意があったとしても、親子間には扶養義務があり(民法877条)、この扶養請求権は親が勝手に処分(放棄)することはできませんので(民法881条)、子どもから親に対する扶養請求を行うことは可能であるといえます(上記父母間の合意は、扶養料を決定する際の一事情として考慮されるに過ぎないものと考えられています。)。

2 今回のケース

 本ケースにおいて、養育費を請求しないという合意が父母間で有効であったとしても、子どもから父親に対する扶養料の請求を行うことは可能といえます(この場合、子どもが未成年者であれば、親権者である母親が法定代理人として請求をすることになります。)。
 また、合意後の事情の変更(例えば、母親の収入の減少など)により子どもの養育に支障が生じている場合などであれば、養育費の請求が認められる余地もあるでしょう。
 このように、離婚の際に父母間において養育費を請求しない旨の合意があった場合でも、養育費(扶養料)の請求が認められる可能性はありますので、簡単に諦めてしまわずに、一度弁護士に相談することをおすすめします。

私たちが丁寧にわかりやすくお話します。

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