勝手に家出した妻からの婚姻費用請求

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夫からの婚姻費用に関する相談例

妻が3歳になったばかりの子どもを連れて勝手に家を出て行ってしまい、生活費を支払うように求められました。自分勝手に出て行った妻に対して生活費を支払わなければならないのでしょうか。

弁護士による解説

1 婚姻費用分担義務について

民法では「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。」と定められているため(民法760条)、原則として、別居をしていたとしても婚姻関係が継続している以上は、婚姻費用(夫婦の生活費)を支払う義務があります。

2 別居を開始した配偶者からの婚姻費用分担請求が認められない場合

もっとも、婚姻関係の破綻について責任のある配偶者(有責配偶者といいます。)からの婚姻費用の分担請求は、権利濫用として認められなかったり、婚姻費用の額が減額される場合もあります。

そのため、事情によっては勝手に出て行った配偶者からの婚姻費用の分担請求が認められない可能性もありますが、一般的に、別居に至る経緯(原因)について、一方的に他方配偶者のみに責任があるとはいえないケースの方が多いでしょうから、別居を開始した配偶者からの婚姻費用の分担請求が否定される場合というのは例外的な場合になるでしょう。

今回のケースにおいても、妻が不貞行為をして相手男性と同居するために一方的に別居を開始したなど、婚姻関係を破綻させた責任が明らかに妻のみにあるようなケースでなければ、妻からの婚姻費用の分担請求が否定されたり、減額される可能性は低いといえます。

なお、婚姻費用に関して、仮に妻の生活費分が否定されても、子どもの監護養育の費用分については否定されることはありませんので注意が必要です。

私たちが丁寧にわかりやすくお話します。

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