養育費の支払いを確保する方法

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元妻からの養育費に関する相談例

私は3年前に離婚し、その際、5歳の子どもの親権者は私となり、元夫からは毎月4万円の養育費の支払いをしてもらう約束をし、この取決め内容については調停調書でまとめました。

しかし、最近になって、元夫が養育費の支払をしないようになり困っています。元夫から確実に養育費を支払ってもらうにはどうしたらよいでしょうか。

弁護士による解説 

養育費は子どもの成長のために必要な費用であり、親である以上子どもの養育費は責任を持って支払ってもらいたいものです。しかし、養育費は、離婚時の子どもの年齢によっては十数年ほどの長期間にわたって支払わなければならないこともあり、今回のケースのように支払を停止する元配偶者も少なくありません。そのような場合に元配偶者から養育費を支払ってもらう方法としては以下のような方法が考えられます。

1 履行勧告

履行勧告とは、家庭裁判所の調停調書や審判書などに支払義務の定めがあり、義務者がその支払を怠っている場合に、家庭裁判所からその義務の履行を勧告してもらう制度です。この制度のメリットは、費用がかからずに手軽に行うことができる点でしょう。

上記ケースでは調停調書で養育費の支払について記載がなされており、元夫がこの支払義務を履行していないわけですから、調停調書を作成した家庭裁判所に対して申し出て、元夫に履行勧告をしてもらうよう求めることが考えられます。

ですが、この制度は強制力がありませんから、元夫が履行勧告に応じない場合には、別の手段を考えなければなりません。

2 履行命令

履行命令とは、履行を確保するための制度という意味では履行勧告と同様なのですが、一番の違いは、義務者が正当な理由なく履行命令に従わない場合には、10万円の科料に処せられるという点です。その意味で履行勧告よりは実効性があるといえます。

なお、履行勧告と履行命令はいずれの手続を選択することも可能であり、併行して申し出をすることもできます。

3 強制執行

上記1及び2は、相手方に任意で支払うように促すためのものですから、結局、相手方が支払をしてくれない場合には解決しません。

そこで、相手方が任意で養育費を支払わないとき、養育費の支払いを直接的に実現するためには、相手方の財産を差し押さえてそこから回収するという強制執行を行うことになります。上記ケースのような養育費の不払いの場合、元夫が定職に就いている場合には元夫の給料(債権)を差し押さえることが多いです。

養育費による差押えの特例

通常、差押えができるのは、支払の期限が到来している分だけです。しかし、養育費については、特例で、将来分までまとめて強制執行ができるものとされています(この特例により将来分について差押えの対象となるのは「給料その他継続的給付に係る債権」です。)。
 今回のケースでは、元夫が養育費の支払を既に怠っている事実がありますので、養育費の支払終期までの将来分もまとめて、元夫の給料を差し押さえる強制執行の手続をとることができます。この給料差押えが認められれば、元夫の勤務先に直接養育費相当額を支払うよう求めることができますから、確実な養育費の支払を実現できることになります。

差押え禁止の範囲について

また、養育費などについては、通常の債権に比べて、差押えることのできる範囲が広く保護が厚くされています。すなわち、原則として、通常の債権の場合、給料などの継続的給付債権の4分の1までしか差し押さえることができませんが、養育費などについては、2分の1まで差し押さえることができるものとされています。

私たちが丁寧にわかりやすくお話します。

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