不貞行為による慰謝料の請求をしたい場合の検討事項

1 慰謝料請求の相手方

当然のことですが、不貞行為(不倫行為)は一人で行うことはできません。配偶者と第三者が共同した行為によって、他方配偶者に損害(精神的苦痛)を与えたということになります。したがって、不貞行為とは、配偶者と第三者の共同不法行為とされ、他方配偶者は、配偶者及び第三者のいずれに対しても慰謝料を請求することが可能です(もちろん、一方のみに請求することも可能です。)。
 なお、他方配偶者は、配偶者及び第三者、いずれに対しても慰謝料の全額を請求することができます。もっとも受け取れる金額が2倍となるわけではなく、2人から合計して全額を回収できるに過ぎません(例えば、慰謝料金額が200万円の場合、配偶者及び第三者にいずれに対しても200万円を請求することができますが、配偶者から200万円の支払いを受けた場合には、第三者からは支払を受けることはできません。)。

2 請求の方法

 

請求の方法としては、大きく分けますと①訴訟外の交渉による方法、②調停による方法、③訴訟による方法に分けることができます。
 ①の方法は、相手方が不貞行為の事実を争わないようなケースでは金額で折り合いがつけば解決が可能であり、早期解決を目指せるというメリットがあります。なお、この場合、慰謝料の支払方法として分割払いとするケースでは、将来的な強制執行(支払が止まってしまった場合に強制的に相手方の財産等から回収する手続です。)を見据えて公正証書を作成しておくと良いでしょう。
 ②の方法は、当事者での話合いでは折り合いがつかないものの第三者を交えることで解決可能性が見込める場合や、訴訟で不貞行為を立証できるだけの証拠が不十分な場合などに、調停委員を間に入れて話合いをベースにした解決の途を探ることができます。なお、慰謝料については民事調停の申立てが通常ですが、配偶者に対する関係では、離婚の家事調停を申し立ててその中で慰謝料についても話合いをすることが可能です。
 ③の方法は、地方裁判所に対して訴訟を提起する方法であり、相手方が不貞行為の事実自体を争っているなど、当事者の話合いによる解決が望めない場合は、この方法によって最終的には裁判官による判断を仰ぐことになります。

3 不貞行為の証拠収集

 

配偶者の不貞行為を理由に慰謝料請求をする場合、配偶者及び第三者が不貞行為自体を認めていればあとは金額の話だけですのでそこまで拗れることはあまりありません。しかしながら、配偶者や第三者が不貞行為の事実自体を否定している場合には、最終的には裁判において請求する側が不貞行為の事実を立証しなければなりません。
 そのため、配偶者の不貞行為の事実が発覚した場合、ケースによっては、将来的な裁判を見据え、事前の証拠収集を行っておく必要があります。具体的には、写真(配偶者と第三者がホテルに出入りする写真など)、メールやラインのやりとり、ホテルや飲食店等を利用した際のクレジットカードの利用履歴や領収証等を確保しておくことが考えられます。また、よくあるケースとしては、興信所等に調査を依頼してその調査報告書を証拠とすることがあります。その他、配偶者が不貞行為を認める発言をした際の録音や不貞行為を認める誓約書等も取り付けることが可能であれば有用な証拠となるでしょう。

4 まとめ

配偶者、不貞行為の相手方との交渉、調停、裁判の場面においては、やはりご自身で対応することに不安を覚えたり、ご自身では対応しきれない場面も多いかと思います。特に、裁判手続では、どのような事実や証拠が重要かなど、専門的な知識や技術が必要不可欠となってきます。
 不貞行為による慰謝料請求を検討されている方は、ご自身に不利益が及ぶことを回避するためにも、まずは弁護士へのご相談・ご依頼を検討されてみることをおすすめします。

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