面会交流の約束が守られない場合の対応方法

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夫からの相談例

 私は妻と離婚したのですが、離婚協議の際、私も妻も2歳の一人息子の親権を強く希望していましたところ、妻からは、「月に1回は面会交流を認めるので、親権は譲って欲しい」との話がありました。私は、実際に裁判になって親権を争っても、私が親権を取るのは難しいだろうと感じていましたので、確実に月1回息子に会えるのであればその方がよいのではないかと考え、妻に親権を譲ることにしました。離婚は家庭裁判所の調停手続を利用し、成立した調停調書には「月1回程度の面会交流を認める」旨の条項も入れてもらえたので、私はこれで息子と毎月会えると思って安心しました。

 しかし、離婚して数か月は息子と月1回ペースで会えていたのですが、それ以降、元妻は何かしらの理由をつけて面会交流に応じなくなってしまいました。私が面会交流を実現する方法はないのでしょうか。

弁護士による解説

1 相手方が調停等で取り決めた面会交流に応じない場合の対応方法について

 調停や審判において面会交流を認める旨の定めがなされたにもかかわらず、相手方がこれを守らない場合には、以下のような方法が考えられます。

① 履行勧告
 これは、家庭裁判所から相手方に対して、面会交流を実施するように勧告をしてもらう制度です。履行勧告は、手数料などもかかりませんし、簡便な方法として利用しやすいところがメリットです。

 もっとも、履行勧告には強制力がないため、相手方がそれでも応じないという場合には状況が改善しないということもありえますので、この点はデメリットといえるでしょう。

② 強制執行(間接強制)
 間接強制とは、調停や審判で定められた内容を履行しない場合に、一定期間内に履行をしないときに一定額の金銭を支払うように相手方に命じることで、相手方に履行を促す手続です。
 つまり、相手方としては、約束を守らないままですと一定の金銭を支払わなければならないことになりますので、それが心理的なプレッシャーとなって約束の実施を実現することが期待できます。
 もっとも、面会交流について間接強制が認められるのは、相手方が実施すべき面会交流の内容や条件等が具体的に定められている必要があり、単に面会交流することを認める程度の条項では間接強制は認められません。

③ 改めて面会交流調停の申立てを行う
 最後に、相手方が面会交流の約束を守らない場合には、改めて面会交流の内容や条件等を話し合うために、再度面会交流調停の申立てをすることが考えられます。離婚後の事情の変化などにより、従前の取決め内容では面会交流を実施することが難しい場合など、改めて面会交流のルール決めをすることで、それ以降の面会交流の実施を実現できるケースもあります。

2 本ケースの場合

 まずは、調停の成立した家庭裁判所に履行勧告の申出をし、家庭裁判所から元妻に対して、面会交流を実施することについて勧告をしてもらうことが考えられます。もっとも、既にご説明のとおり、履行勧告は強制力がありませんので、元妻が履行勧告に応じない場合には解決とはなりません。

 次に、強制執行(間接強制)についてですが、本ケースでは、調停条項において「月1回程度の面会交流を認める」という記載にとどまり、その具体的な実施方法や条件等については取決めがなされておりませんので、間接強制が認められるのは難しいでしょう。

 そうしますと、元妻が履行勧告に応じない場合には、改めて面会交流調停の申立てを行い、再度面会交流の実施方法等について協議を行うことが考えられます。その際、状況に応じて、上記の間接強制が可能となるような内容の取決めを求めていくことを検討してもよいでしょう。

私たちが丁寧にわかりやすくお話します。

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