離婚と離縁について

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離婚協議中の妻からの相談例

 私は、3年前に現在の夫と再婚しました。その際、前夫との子と現在の夫は養子縁組をして、これまで家族として生活を続けてきました。しかし、この度、私と夫は離婚をすることになりましたが、私としては、養子縁組をして親子になった以上、夫に養育費を支払って欲しいと思っています。

 離婚をした場合、養子縁組についても当然に解消されてしまうのでしょうか。

弁護士による解説

1 離婚と養子縁組の解消(離縁)は別の手続

 再婚に際して、再婚相手の連れ子と養子縁組をすることは比較的よくあることだろうと思います。このため、養子縁組後に離婚をした場合、養子縁組がどうなるのかという点に関心のある方も多いでしょう。

 この点、離婚と離縁は法律上必ずしもリンクしているわけではありません。そのため、離婚をした場合でも離縁はせずに親子関係を残すことも可能です。

 本ケースの場合でも、離縁せずに養親子関係はそのまま残るということになれば、夫は子に対する扶養義務を負っていますので、夫に対して養育費の支払を求めることができます。

2 夫が養子縁組の解消(離縁)を求めてきた場合

 他方で、夫の立場からすると、再婚相手と離婚をする以上、再婚相手との結婚を前提とした行った養子縁組も解消したいとして、離縁を求めてくるケースも多いです。

 離縁の手続は、まずは当事者の協議(協議離縁)を行い、協議が調わない場合には裁判所での離縁調停にて話合いをすることになります。そして、調停でも話合いが成立しない場合には、最終的には、離縁訴訟を提起して裁判所が離縁を認めるか否かを判断することになります。

 裁判所は、法律で定められた離縁原因があるか否かによって離縁を認めるかどうかを判断します。離縁原因は、民法814条1項各号に定めがあり、多くの事案で問題となるのは3号の「その他縁組を継続し難い重大な事由があるとき」に該当するか否かです。

2 夫婦の離婚が「縁組を継続し難い重大な事由」となるか

 上記1でご説明したとおり、離婚と離縁は別の手続ですので、夫婦が離婚したからといって、その事実のみをもって離縁ということにはなりません。

 しかしながら、連れ子との養子縁組というのは再婚相手との結婚(婚姻継続)が前提となって行われており、離婚後は、連れ子は再婚相手が監護養育していくことになることが多く、実質的に夫(養親)と連れ子(養子)は共同生活という実態もなくなるのが通常であることからも、夫婦が離婚をした後の現実の養親子関係がどうなるかという観点からは、「縁組を継続し難い重大な事由」に該当すると判断されるケースは多いように思われます(実際に、裁判例でも同様の判断をしているものがあります。)。

 そのため、本ケースにおいても、妻としては、養子縁組は残したまま養育費の支払を夫に求めたいと考えたとしても、夫から離縁の請求がなされた場合には、離縁が認められてしまう可能性があるでしょう(その場合、養親子関係はなくなりますので、夫への養育費の請求はできなくなります。なお、この場合には、実の父親(元夫)への養育費請求を検討しても良いでしょう。)。

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