住宅ローンの支払がある場合の婚姻費用の算出方法

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別居中の夫からの相談例

私は現在妻と別居をしていますが、先日、妻から婚姻費用10万円を支払うように請求がありました。

妻は、「この金額は、私(200万円)とあなた(600万円)の年収から算定表によって算出された金額なので、この金額からの減額は認めない。」と言っています。しかし、私は、妻と子(5歳)が住んでいる自宅の住宅ローンを毎月10万円支払っており、この住宅ローンの他に、妻が請求してきている婚姻費用を支払うことは困難です。

このような場合、住宅ローンの支払いについては考慮されずに婚姻費用の金額が決められてしまうのでしょうか。

弁護士による解説

1 住宅ローンの支払がある場合の婚姻費用の算出方法

実務においては、一般的に、算定表を使用して婚姻費用の金額が決定されることが多いといえます。

もっとも、本ケースのような場合、夫(義務者)が住宅ローンを支払っていることで、妻(権利者)は本来婚姻費用の中から負担すべき住居費の負担を免れていることになりますので、この点が全く考慮されないとすれば夫は妻の住居費を過大に負担していることとなり公平を欠くことがあります。

そこで、実務では、本ケースのような場合には、①算定表により算出された金額から、権利者の年収に応じた標準的な住居関係費を控除する方法や、②算定表により算出された金額から、住宅ローン支払額の一定割合額を控除する方法などが取られています。

2 本ケースの場合

本ケースの場合、確かに算定表による金額としては8~10万となり、妻の請求金額は算定表により算出される金額として不当なものとはいえません。しかし、夫は妻と子どもが住んでいる自宅の住宅ローンを毎月10万円負担しており、これにより妻は住居費を免れている関係にありますから、この点を全く考慮せずに婚姻費用を定めるとすれば、夫は妻の住居費を二重に負担している形となって、公平性を欠く結果となります。

そこで、上記①の方法により婚姻費用の金額について調整を行うとした場合、妻の収入に照らした標準的な住居関係費は約2万8000円ですので、上記算定表により算出された8万円~10万円の金額から、この2万8000円を控除した金額を婚姻費用とすることが考えられます。

もっとも、上記の方法はあくまで考え方の一つであり、実際のケースにおいては、具体的な事情等を考慮して異なる算出方法等が取られることもありますので、詳細は弁護士に相談されることをおすすめします。

私たちが丁寧にわかりやすくお話します。

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