慰謝料請求

1 離婚に伴う慰謝料

離婚においては、離婚するに至った原因が一方配偶者にある場合には、慰謝料請求(「離婚によって被る精神的苦痛を慰謝する損害賠償」)が認められる場合があります。
 離婚に伴う慰謝料は、大別すると、①離婚原因となった個々の有責行為を根拠とした慰謝料(離婚原因に基づく慰謝料)と、②離婚余儀なくされたことを理由とする慰謝料(離婚自体の慰謝料)に分けられます。
 裁判などでは上記①及び②を厳密に分けることなく一括として処理されている例が多いですが、理論的には上記のように区別することができます。

2 慰謝料が認められる有責行為の具体例

(1) 不貞行為

不貞行為は、夫婦の婚姻共同生活の平和・平穏を阻害する典型的な行為であり、民法上の離婚原因としても明記されています(民法770条1項1号)。この不貞行為によって他方配偶者が大きな精神的苦痛を被ることは明らかですので、不貞行為には、原則として、不法行為が成立して慰謝料請求が可能です。
 なお、慰謝料請求の根拠となる行為は、いわゆる性交渉を意味する「不貞行為」に限定されません。つまり、「不貞行為」に至らない行為であっても、これにより夫婦共同生活の平和・平穏が害されて配偶者が精神的苦痛を受けたと評価できる場合には、不法行為が成立し、慰謝料請求が認められることがあります。
 なお、不貞行為と慰謝料については、こちらで詳しく解説をしていますので「不倫と慰謝料」(リンク)こちらを参考になさってください。

(2) 暴力行為(DV)

暴力行為は身体に対する攻撃であり、これにより怪我をした場合はもちろん、そのような行為が他方配偶者に多大な精神的苦痛を与えることは言うまでもなく、暴力行為についても、原則として不法行為が成立して慰謝料請求が可能といえます。

(3) 悪意の遺棄

夫婦は相互に協力扶助義務を負っていますので(民法752条)、正当な理由なく、他方配偶者に生活費を渡さない等により悪意の遺棄を行った場合には、このような行為にも不法行為が成立し慰謝料請求が認められる場合があります。

(4) その他

その他考え得るケースとしては、正当な理由のない性交拒否や極端な浪費などを理由に慰謝料が認められるケースもあります。

3 慰謝料の金額

慰謝料の金額には明確な基準はなく、①有責性の程度、②精神的・肉体的苦痛の程度、③婚姻期間の長短、④未成年の子の有無、年齢、⑤有責配偶者の資力などの事情を総合的に考慮して判断されることになります。
 過去の裁判例などから考察すると、慰謝料が500万円を超えるケースというのは少なく、一般的には100万円~300万円くらいの範囲で認められることが多いといえます。もっとも、慰謝料が認められても数十万円程度の例もありますので、上記金額はあくまで目安程度に考えておくとよいでしょう。

4 慰謝料請求と時効

離婚に伴う慰謝料請求ができる場合でも、これらの請求については時効があるため注意が必要です。理論的には、上記①及び②のいずれの慰謝料請求かによって、以下のように整理することができます。

(1) ①個々の行為を理由とする慰謝料請求の場合

これらの請求は不法行為に基づく損害賠償請求権となりますので、損害及び加害者を知ってから3年で消滅時効となり(民法724条)、慰謝料請求はできなくなります。
 もっとも、夫婦の一方の他方に有する権利については、婚姻解消から6か月間は時効が完成しませんので(民法159条)、実際には離婚成立から6か月間以内に裁判を提起するなどすればよいことになります。

(2) ②離婚自体を理由とする慰謝料請求の場合

この場合、損害は離婚成立により初めて評価できるとして、離婚成立時から消滅時効が進行しますので、離婚成立から3年間となります。

私たちが丁寧にわかりやすくお話します。

法律相談のご予約はこちら

  • お問い合わせフォームへ

法律相談のご予約はこちら

  • お問い合わせフォームへ